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現在からの視座 

徳本 裕子(藤本 裕子) Hiroko Tokumoto

2011年度 終了制作 「牽牛織女図 模写」

《牽牛織女図 模写》

牽牛織女図2011

右 調整DSC_25004038.jpg

(左)

左調整DSC_25034035.jpg

(右)

 この作品は「牽牛織女図」の現状模写です。原本は17ー18世紀に製作されたもので東京芸術大学大学美術館に所蔵されています。

 制作当時は手順等知らない事だらけでしたので、一から先生に教えていただき、一つ一つ相談にのってもらいながら進めていたことを思い出します。本当に毎日が新たな発見といった感じでした。

 また、先輩方が残してくださった模写日誌という、すでに修了制作を終えた先輩方が日々の制作の仕事を記録したファイルがあり、日付とどんなことをしたか、準備物などが記入してあったりと、とても丁寧に書かれていたのでそれをを参考にして、自分の制作スケジュールに合わせながら完成予定月から逆算して作業を進めていきました。

 たくさんの作業の積み重ねで模写が完成したので一つずつを説明することはできませんが、模写の制作で私が学んだことは「一つ一つの作業・行いに意味を持たせる」ということです。

 模写ではなく自身の作品制作では、感じたことその時の気分や好みなど色々なものが絵画に反映されると思いますが、模写に関していえば自分の感情ではなく、今まで色彩と日本画画材を扱ってきた経験を踏まえた上で、本物の作品にいかに線や色、雰囲気を合わせられるか調整しながらの制作になり、常にやりすぎない事を気をつけていたように思います。そのような意味でも、何のために手を加えるか考えながら行っていた事を思い出します。

 また、絹を染めるとこから始めさせてもらえたので、染色、色止め、砧打ち、作品のサイズに合った木枠作り、絹への裏打ちなどの工程を経ることでその作業は何故必要なのかということを理解することができて、非常に勉強になりました。今思い返しても、修了過程に進み模写を制作できたことが大学生活の中でも大きな収穫だったように思います。

 学生さんたちにアドバイスできることがあるとするならば、模写制作は小作品であっても色々な工程が多く、長い期間一つの作品に向き合うことになるので、じっくり考え自分の気に入った作品を選ぶ事をおすすめします。

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