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現在からの視座
櫻庭 健 Kenn Sakuraba
2017年度 卒業制作 「P.expression」

《P.expression》2013

(左)

(右)
この作品は祈る道化をモチーフに描かれている。道化が祈る、という行為をすること自体が相反しているように感じた私は、それを描くことで神聖と混沌を同時に表現できると考えていた。ちなみに道化役はすべて自分でやっている。
左右のキャンバスには、それぞれ一体ずつ祈る道化が描かれ、真ん中のキャンバスには複数の道化が折り重なり、柱のようになっている。そのままの状態であると、ただ神聖なものに感じ、それを嫌った私はどちらかにかたよらないように、画面が持っているもともとの表情(マチエールなど)からカタチを選びとり、道化と混ぜあわせることで画面全体を抽象化していった。
この作品にはそれぞれ最初に複数の色をおいていたが、最後は木炭の黒とシルバーホワイトの白だけで描くという表現になった。その結果、最初においてあった色たちは、画面を眺めているとほんのかすかに感じられる程度の色となり、ただの白黒ではなく、より深いグレートーンが生まれているように感じる。
今この作品を見ると、画面の中でひたすらもがいていた結果がこの作品をいいものにしているように感じる。やはり制作において失敗は何度もするべきだなと思う。現在の自身の制作はどこか安定をとっているように感じる時があるので、失敗を恐れず、常に楽しみながらこれからも制作を続けていきたい。
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